"Polarized Inelastic Neutron Scattering"のワークショップに参加した。最初に、Louis PierreとJaimeとKazu Kakuraiが偏極中性子を使ったサイエンスの話(みんな3軸…まあ、いまはそうか)をした以外は、3He FilterとPolarization BenderとHySPECの技術的な話がずっと続いた。3He Filter開発の米国の拠点のひとうはNISTで、すでにNBSRのBT73軸分光器に設置したことをRoss Erwinが報告していた。ヨーロッパはPSIでBender、ILLで3He Filter。私は2日めの朝に皆さんから頂いた資料をもとに日本での現状を報告。中性子光学、とくに磁気集光・偏極技術は日本の独壇場で、今後ますます注目されるはず。
2日目の途中からHySPEC分光器のIDTミーティング。今回、PSIが正式に参加することが承認された*1。偏極技術として3HeとBenderとHeuslerをどのように使っていくかでかなり喧々諤々の議論が続いた。LANSCEのJim Rhyneがmodelatorをしていたが、彼のような沈着冷静なひとでないと話がすすまなかっただろうなあ。Igorは議論になると暴走するし。
ワークショップで発表をするはめになったおかげで予習がばっちりできていたので、技術的な話が続いても議論についていけた。資料提供にご協力いただいた皆様のおかげです。
土曜日は生憎の雨。気温もさほどあがらず冬に逆戻りした感じ。今回は、セントラルパークの南に面したHelmsley Park Laneに泊まった。ちょうど何かの会議の時期*2なのか、マンハッタンのホテルがどこもいっぱいでかつ値段も高くなっていて、色々ネットで探してここになった。ロケーションはいいし、部屋も(マンハッタンにしては)広いし(古めかしいけど)綺麗。朝の11時にチェックインさせてくれたのだから、ニューヨークのドライな対応のなかでは相当ましである。インターネットも無料で使えるし、壁には大型液晶テレビがついているし*3、地下のトレーニングジムも結構充実しているし、今まで泊まった同じクラスのニューヨークのホテルのなかでは随分とよいほうである。えーと、でも日本のホテル並みの応対とサービスを基準に考えると、がっくりする人もいるかも。ユナイテッドと全日空みたいなものか。私はユナイテッドは結構好きです。
早くチェックインできたので、部屋に荷物を置いて、まずアッパーイーストのGuggenheim美術館に出かけた。MoMAは去年行ったし、自然史博物館はネットで各種プログラムの前売り券がすでに相当なくなっていたし、メトロポリタン美術館は大きすぎるし、というわけで。雨の寒い日に旅行者が考えることなどだいたい同じなので、Guggenheimもそれなりに混んでいた。アメリカの彫刻家David Smithの生誕100年を記念した回顧展が行われていた。鉄を素材とした彫刻が年代別にらせん状のスロープにそって並べられていて、無料のMP3音声ガイドを聴きながらそれらを辿っていくと、David Smithの芸術家としての変遷がよくわかる。美術は背景となる知識があったほうが面白いと個人的には思うので、音声案内があるのは大変ありがたい。GuggenheimはKandinskyの膨大なコレクションをもっていることでも有名で、Kandinskyの大ファンの私としては大変たのしい場所である。ちなみにDavid Smithよりも常設展のKandinskyのほうが混雑していた。
そのあとFrickコレクションを見ようとしたが、冷雨の中、入場待ちの長い行列ができているので潔く諦め、Bloomingdaleに行く。アホなことにスーツケースに長袖シャツを詰め忘れて、ジャケットとタートルネックしかないのだ。まあ、ちょうどシャツを買わないといけないなあと思っていたし、Bloomingdaleもなぜかセール中だったので、Tommy Hilfigerでシャツを4つ$120ほどで購入。半額以下である。人間万事塞翁が馬であるなあ。ホテルにもどってジムでウエイトとステアクライマーで1時間半ほどトレーニング。
夜はメトロポリタンオペラに「ベートーベン唯一のオペラ」であるFiledioを観に行った。新国立劇場の紹介文を引用すると
監獄所長ピツァロは、政敵フロレスタンを不正に監禁している。フロレスタンの妻レオノーレは夫を救出するため、男装してフィデリオと名乗り、監獄の番人ロッコの下で働き救出の機を窺う。大臣の視察を知らされたピツァロは不正の露見を恐れ、フロレスタンの殺害を決意。ピツァロが手を下そうとした瞬間、レオノーレが身を挺して夫をかばう。そこへ大臣が到着、レオノーレの勇気ある行動を称賛し、ピツァロを裁く人々は神の正しい裁きと愛の力をたたえる。ということになるが、舞台を見ていると、筋立ては、水戸黄門かNHKの前川清がでてきそうな大衆演芸*4かという感じである。「愛による自由への解放。理想主義を音楽が雄弁に語る感動の傑作。(by 新国立劇場)」というよりは、「人情味あふれるコメディー。最後にちょっとだけ感動。」というほうが実際に近いんじゃないだろうか。だからこそ面白いと思うんだけどなあ。もちろん音楽は素晴らしいです。とくに今回はフィデリオ/レオノーラ役のKarita Mattilaが、その青年というか少年のような容姿も相まって、出色の出来映えで、観客からものすごい賞賛を浴びていた。しかし、夫役のほうが2年間も地下で幽閉されていて本来はやせ細って青白いはずなのに、何だか健康的な丸々とした小柄のテナーだったので、脳内変換フィルターをフル稼働させないといけなかった。あ、あとジョン・健・ヌッツォ君がわりと大事な(でも、かなりトホホな)ヤキーノという役ででてました。
あッ,来てたんだ...